ディスプレイを語るうえで「Hz(ヘルツ)」という単位は避けて通れない。スマホのスクロールがぬるぬる動く/ゲームの敵を見失わない/動画編集のタイムラインがストレスなく追従する、これらすべてがリフレッシュレートに影響します。
この記事では、リフレッシュレートの基礎から用途別の最適解、そしてフレームレートとの関係までを体系的に解説していきます。
選び方簡易ガイド
- リフレッシュレート=1秒間の書き換え回数。
- 60 Hz・120 Hz・240 Hzの差は、フレーム時間(16.67 ms/8.33 ms/4.17 ms)の差に直結する。
- 事務作業→60 Hzで十分。映像制作→120 Hzで快適。eスポーツ→240 Hzはもはや標準装備。
- GPU性能・応答速度・パネル種を合わせて選ばないと宝の持ち腐れ。
リフレッシュレートの基礎知識

リフレッシュレートの基礎知識やフレームレートとの比較について紹介していきます。
定義と計算式
1Hzは1秒間に1回の更新を意味する単位。「リフレッシュレート=1秒÷1フレームの表示時間」。
たとえば60Hzの場合、1フレームは16.67ms(= 1000 ms / 60)。120Hz なら8.33 ms、240Hzなら 4.17msとなります。
この差がそのまま残像の有無や入力遅延の体感差となります。
人間の反射速度の平均は215ms。これに対して240Hzの更新間隔はわずか4.17ms。人が反応できるより前に画面が50回以上切り替わるほど桁違いに短い。
フレームレートとの違い
リフレッシュレート(Hz)は「ディスプレイが1秒間に何回画面を書き換えられるか」を示すハード側の上限値。
フレームレート(fps)は「GPUが1秒間に何枚の映像フレームを生成できるか」というソフト側の実行値。
もし fps < Hz なら、ディスプレイは余力を持て余し同じフレームを何度も表示する。逆に fps > Hz では、GPUが生成したフレームがモニターに収まりきらず “取りこぼし” が発生し、スタッター(カクつき)やティアリング(画面の裂け目)が起こります。
理想は平均fps ≒ モニターHz、誤差±20%程度に収まること。
リフレッシュレートが重要な理由
代表的な理由を3つ紹介して行きます。総じて快適性やモニターとしての視認性に影響してきます。
- モーションブラー(残像)の軽減
- フレームが早く切り替わるほど被写体の輪郭が保たれる。
- 入力遅延の削減
- クリック→発射までのラグが短くなる。特に FPS/TPS で優位。
- 視覚的快適性
- Web スクロールやウィンドウ移動が滑らか。長時間作業でも目が疲れにくいという報告もある。
60 Hz/120 Hz/240 Hzを体感ベースで比較
ここからは、60 Hz・120 Hz・240 Hz を使い分けたときの肌感覚を紹介して行きます。
結論を先に言うと、120 Hz のコスパが最強。ただしeスポーツに命を懸けるなら240 Hz が必須。
用途 | 60 Hz | 120 Hz | 240 Hz |
---|---|---|---|
事務・ブラウジング | 〇:十分クリア | ◎:文字スクロールが爽快 | ◎:オーバースペック |
映像制作 | △:60 fps 編集で限界 | ◎:タイムラインを滑らか確認 | ◎:4K/120 fps プレビュー快適 |
ゲーミング | △:残像で敵がブレる | ◎:大半の AAA タイトルで満足 | ★:e スポーツの標準装備 |
正直、Netflix を観るだけなら 60 Hz で十分。120 Hz と 240 Hz の感動差は初回起動時だけ。CODやApex LegendsなどFPSを想定する場合、240 Hz特有の視点追従の速さが勝敗を分けることもある。試合で1デス減らせることに対価を払えるか。。
用途別おすすめリフレッシュレート

ここからや少し具体的に用途別のおすすめリフレッシュレートを紹介して行きます。大は小を兼ねますが、リフレッシュレートが高すぎるのも問題なため「価格」や「PCスペック」にも影響してくるので注意。
オフィスワーク・ブラウジング
- 推奨:60 Hz~75 Hz。
- Word/Excel や Google ドキュメント程度なら残像は気にならない。レートよりも目に優しいアイケアモードや高さ調整スタンドを優先すべき。
動画編集・イラスト制作
- 推奨:120 Hz。
- 60 fps 以上でキャプチャした素材を等倍再生したとき、タイムラインつまみ(スクラブ)が滑らかに動く。GPU が 4K60 をリアルタイムで流せるかがボトルネック。
③ゲーミング(シングルプレイ派)
- 推奨:120 Hz。
- AAA タイトルは 100 fps 前後が多く、120 Hz がピッタリの上限になる。4K 解像度でレイトレ ON なら、なおさら 120 Hz が現実解。
e スポーツ・対戦ゲーム
- 推奨:240 Hz(競技シーンでは 360 Hz も登場)。
- 144 Hz から 240 Hz へ乗り換えたとき、エイム追従が一段階“早送り”されたように感じるはず。
モニター選びで失敗しない5つのチェックポイント

- GPU とフレームレートの整合性
- RTX 4060 Ti で 240 Hz をフル活用するのは至難。平均 fps ≧ モニター Hz が原則。
- パネル種類(IPS/VA/TN/OLED)
- 色再現が欲しいなら IPS、コスパなら VA、高速応答なら TN、黒の深さ重視なら OLED。
- 応答速度 (GtG) と MPRT
- 数値は小さいほど残像が少ない。240 Hz なら 1 ms 以下が理想。
- 可変リフレッシュレート (VRR) 対応
- G‑Sync・FreeSync は fps が Hz を下回った瞬間のカクつきを緩和。
- スタンドの ergonomics
- 上下昇降・ピボットは作業効率に直結。実はここをケチるユーザーが多いと私は思う。
価格帯別おすすめモニター4選
価格帯 | 機種 | 主な特徴 | 推奨用途 |
---|---|---|---|
3万円前後 | Acer Nitro VG271U V3 | IPS 170 Hz/FreeSync Premium | エントリーゲーマー |
6万円前後 | BenQ Mobiuz EX3210U | 4K 144 Hz/HDMI 2.1 | PS5+PC ハイブリッド |
8万円前後 | Dell Alienware AW2725DF | 27インチ QD‑OLED 1440p 240 Hz/HDR400 True Black | 高画質&高速の両立 |
9万円超 | ASUS ROG Swift PG27AQN | 1440p 360 Hz/G‑Sync ULMB2 | e スポーツ特化 |
Dell の QD‑OLED は黒の沈み込みが段違い。HDR 対応ゲームなら迷わずコレ。
「高い=高スペック」は真理だけど、まずは自分のパソコンスペックから確認を。
リフレッシュレートとは?まとめ
結局のところ購入するモニタースペックは自分が出したいフレームレートと財布事情、PCスペックによりますが、ざっくり以下のイメージです。
- 予算 3 万円+ライトゲーマー → 60 Hz or 75 Hz
- 予算 6 万円+動画&ゲーム両立 → 120 Hz
- 予算 “勝利はプライスレス” → 240 Hz or 360 Hz
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よくある質問(FAQ)
- 144 Hz と 165 Hz の違いって誤差?
-
フレーム時間の差は 6.94 ms → 6.06 ms(0.88 ms)。ほぼ誤差
- PS5 で 240 Hz は出せる?
-
現状 120 Hz が上限。240 Hz モニターに繋いでも 120 fps → 120 Hz で動作。
- 応答速度 0.5 ms と 1 ms の差は?
-
残像(オーバーシュート)が抑えられる。ただしメーカー測定条件がバラバラ
- ブルーライトカットと高Hz、目に優しいのはどっち?
-
ベクトルが違う。ブルーライトカットは色味変更、高Hz は動きの滑らかさ改善。両立できるから心配無用。