Jabraは日本から“完全撤退”したわけではなく、一般向けイヤホン「Elite」シリーズと片耳Bluetooth「Talk」シリーズのみ、2024年末で生産・店頭販売を終了しました。
テレワーク全盛期を支えた「Jabra Elite」の音質・通話性能・多機能さに助けられてきた身としては、
今後新品で手に入らなくなるのは正直さびしいところです。
とはいえ、補聴器や法人向けヘッドセット、会議用スピーカーフォンは今後も継続しますし、Eliteに近い使い勝手を持つイヤホンも他社から多く登場しています。
本記事では、
- Jabraは本当に撤退なのか? どこまでが終了対象?
- Eliteシリーズ終了の背景と理由
- Jabra Eliteユーザーが次に選ぶべき「メーカー」と選び方の軸
をまとめました。「次はどこのメーカーを見ればいいか分からない…」という方の参考になればうれしいです。
結論:Jabra Eliteユーザーはこの4メーカーから選べばOK
「細かい理由はあとでいいから、次どうすればいいか知りたい」という方向けに、先に結論です。
Jabra Eliteシリーズが終了した今、同じような使い勝手を求めるなら、基本的に以下4メーカーをおすすめします。
- Sony
- ノイズキャンセリング・音質・アプリの細かい調整を重視する人向け
- Apple(AirPodsシリーズ)
- iPhone・iPad・Macなど、Apple製品を複数台使っている人向け
- Bose
- 電車・オフィス・カフェなど、騒音カットと装着感を最優先したい人向け
- オーディオテクニカ
- 日本ブランドの安心感と、1〜2万円台で音質と価格のバランスを取りたい人向け
Jabra Eliteで評価されていた、
- 高い通話品質
- 強力なノイズキャンセリング
- マルチポイント・マルチペアリング
- 価格と機能のバランス
といったポイントは、上の4メーカーの現行ラインナップでほぼカバーできます。あとは、「自分がどのタイプに近いか」を決めてから、それぞれのメーカーの中で予算と好みで絞り込んでいくイメージです。
▶︎ Sonyの完全ワイヤレスイヤホン一覧をAmazonでチェックする
▶︎ AirPodsシリーズ(Apple純正イヤホン)をAmazonでチェックする
▶︎ Boseの完全ワイヤレスイヤホン一覧をAmazonでチェックする
▶︎ オーディオテクニカのワイヤレスイヤホン一覧をAmazonでチェックする
Jabraは“完全撤退”したのか

冒頭にも記載していますが、完全撤退はしていません。撤退したのはElite シリーズ(完全ワイヤレス/ヘッドホン)と Talk シリーズ(片耳 Bluetooth)のみです。
| 撤退対象 | 状態 | 主なモデル |
|---|---|---|
| 一般向けイヤホン | 終了 | Elite 10 / Elite 8 Active など |
| 一般向けヘッドフォン | 終了 | Elite 45hなど |
| 片耳Bluetooth | 終了 | Talk 45 ほか |
| 法人向けヘッドセット | 継続 | Evolve2, Engage |
| 会議用スピーカーフォン/ビデオバー | 継続 | Speak2, PanaCastシリーズ |
| 補聴器(Resoundなど) | 継続 | GN Hearingなど |
ポイントは、
- 終了するのは一般向けのコンシューマーイヤホン/ヘッドホン
- 法人向けヘッドセット・スピーカーフォン・補聴器は今後も強化
ということ。ブランドとしての「Jabra」が消えるわけではなく、コンシューマーオーディオ市場からは撤退するという理解でOKです。
Eliteシリーズ撤退(終了)の4つの理由
Eliteシリーズが終了した理由は以下の4つだと考えられます。イヤホンの需要が高まる中、低価格化やシェアの奪い合い、ブランドの浸透等が難しかったようです。
- 競争過熱で開発コストが高騰
- Apple・Sonyのハイエンド化と中国勢の低価格攻勢に挟まれ、ミドルレンジを得意としていたJabraは価格競争力を維持できなかった
- スペックをあげれば開発費が重くなり、価格を下げれば利益にならない板挟み状態
- 投資対効果(ROI)が頭打ち
- 2023年のコンシューマー部門売上はGN全体の7%弱。限られたリソースを伸びる分野へ振り向ける方が合理的と判断
- 補聴器事業や法人向け、ゲーミング機器(SteelSeries)が主力セグメント
- 構成超セグメントへのフォーカス
- 補聴器、法人UCソリューション、ゲーミング(SteelSeries統合)の3領域を「高成長セグメント」と定義し、開発・マーケ費を再配分
- 広く薄くより狭く深くに切り替える経営判断
- ミドル価格帯のポジション崩壊
- 値下げで台数を追っても利益が残りづらい構造が撤退判断を後押し
既存ユーザーが押さえるべきサポート情報

「もう買えない」と聞くとサポート面が不安になりますが、現時点では次のような方針が示されています。
後数年間はお客様へのサービスとサポートを継続
- 保証期間は従来どおり
- 国内正規品は、購入日から原則2年間の保証が有効
- 並行輸入品は対象外なので要注意
- サポート自体は数年間継続予定
- 修理・交換対応や最低限のファームウェア更新は、一定期間継続するとされています
- 部品は在庫限り
- バッテリーやイヤーチップなどの消耗品は、在庫が尽きると終了する可能性があります
- アプリ「Jabra Sound+」も当面は提供
- ただし、iOS/Androidの大型アップデート次第では、一部機能の制限やアップデート遅延が起きるリスクもゼロではありません
取るべきアクション

Eliteユーザーとして、今からできることを整理しておきます。
- 保証書と購入証明(レシート・ECの注文履歴)を保管
- 2年保証を受けるためには「購入日を証明できるもの」が必須です。
- バッテリーが弱ってきた個体は早めに相談
- サポートが機能しているうちに、一度状態を見てもらうのがおすすめです。
- 仕事で依存している人は“次の候補メーカー”を決めておく
- 特にテレワークやオンライン会議が生活の中心にある人ほど、「いつでも乗り換えられる候補メーカー」を持っておくと安心です。
- 買い替え検討中なら「在庫がまだある今」か「他メーカーに移るか」を決める
- Elite 10 / 8 Activeなど最後のモデルを確保するか、このタイミングでSony/Apple/Bose/オーディオテクニカへ移行するかを、この記事をヒントに判断してもらえればと思います。
Jabra Eliteの次に選びたい完全ワイヤレスイヤホンメーカー
ここからは、「Jabra Eliteが好きだった人目線」で見たおすすめメーカーを紹介します。いきなり個別モデル名まで暗記しようとせず、まずはメーカーごとの性格を掴むのがおすすめです。
1. Sony:ANCと音質・設定の細かさを重視するなら
Jabra Eliteを「通話も音楽もこなせる万能イヤホン」として気に入っていた人には、まずSonyが本命候補になります。
- 業界トップクラスと言われるノイズキャンセリング性能
- アプリからイコライザーや外音取り込み量などを細かく調整可能
- Android/iPhoneのどちらでも使いやすく、モデル数も豊富
Jabraでいうところの、
- マルチポイント
- ANC
- 通話品質
といったバランスの良さを、「静寂寄り」に強化したメーカーというイメージです。
こんな人に向いています
- リモート会議も音楽視聴も1台で済ませたい
- 周囲の騒音をしっかりカットして集中したい
- 音質や設定を自分好みに追い込みたい
2. Apple(AirPods):Apple製品を複数台使っているなら純正一択
iPhoneやiPad、MacなどApple製品を複数台使っている人には、素直にAirPodsシリーズがおすすめです。
- Apple IDにひもづいて、デバイス間の自動切り替えが非常にスムーズ
- ペアリングがワンタップで完了し、設定も直感的
- イヤホンを外すと自動一時停止など、小さな気配りが積み重なった体験
Jabraのマルチポイントも十分便利でしたが、Apple同士の自動切り替え体験は一度慣れると戻れないレベルです。
こんな人に向いています
- iPhone・iPad・Macを日常的に行き来している
- 設定で悩みたくない、難しいことを考えずに使いたい
- 「多少高くても、快適さを優先したい」
3. Bose:騒音カットと装着感を最優先したいなら
通勤電車・飛行機・オフィス・カフェなど、「とにかく周りがうるさい環境」で使うことが多い人には、Boseが向いています。
- 静寂感のあるノイズキャンセリング性能
- 長時間つけても耳が痛くなりにくい装着感
- 映画や動画が映える、やや低音寄りのサウンド
Jabra EliteのANCに満足していた人でも、Boseに乗り換えると
「あ、静けさの“質”が違うな」
と感じるケースは多いです。
こんな人に向いています
- 電車・飛行機・オフィスなど騒がしい場所で使うことが多い
- 長時間装着するので、疲れにくさを重視したい
- 通話よりも「静かに音楽や動画を楽しみたい」がメイン
4. オーディオテクニカ:日本ブランドで“価格と音質のバランス”を取りたい人向け
「次は3〜4万円クラスまでは出せないけれど、安っぽい音はイヤ」という人には、オーディオテクニカ(audio-technica)がちょうど良いメーカーです。
- 1万円台〜2万円台にかけてラインナップが豊富
- モニター寄りのフラットな音から、リスニング向きのチューニングまで選べる
- 日本ブランドならではのつくりの良さ・サポートの安心感
Jabra Eliteシリーズの「価格と機能のバランスが良い」というポジションが好きだった人にとって、
オーディオテクニカは次の標準機として有力候補になります。
こんな人に向いています
- 1〜2万円台で、長く使えるモデルを探している
- 日本ブランドが好き/サポート含めて安心して使いたい
- 仕事もプライベートも1台でこなしたい
補足:音質に全振りしたい人はSennheiserやTechnicsも候補
「仕事よりも音楽」「とにかく音質優先」という人は、Sennheiser(ゼンハイザー)やTechnics(テクニクス)といったオーディオ寄りメーカーも候補になります。
- 有線ヘッドホンに近い情報量と解像感
- ハイレゾ相当のコーデック対応モデルも豊富
- 落ち着いたデザインで“音楽用デバイス”としての満足感が高い
ただし、
- 価格帯がやや高め
- 通話やマルチポイントよりも、リスニング体験を重視
という傾向があるため、「通話・会議メインのJabra使い」からの乗り換えというよりは、音楽用セカンド機としての位置づけがしっくり来るかもしれません。
メーカーの使い分け早見表
Jabra Eliteの代わりに検討しやすい4メーカーを、ざっくりと使い分けるとこんなイメージです。
| メーカー | 一言でいうと | 向いている人 | 特に強いポイント |
|---|---|---|---|
| Sony | ノイキャンと音質が強い万能型 | 通話も音楽も1台でこなしたい/静かな環境を作りたい人 | ノイズキャンセリング性能・音質・アプリでの細かい調整 |
| Apple(AirPods) | Apple製品との連携が圧倒的に快適 | iPhone・iPad・Macを複数台使っている人 | デバイス間の自動切り替え・かんたんな設定・安定した使い勝手 |
| Bose | 騒音カットと装着感を最優先する静寂特化型 | 電車・オフィス・カフェなど、うるさい環境で長時間使う人 | ノイズキャンセリングの静寂感・疲れにくい装着感・動画映えする音 |
| オーディオテクニカ | 日本ブランドで“価格と音質のバランス”が良い | 1〜2万円台で、長く使えるイヤホンを探している人 | コスパ・音質のバランス・安心感のある作りとサポート |
メーカー選びのざっくり指針
- 「ノイキャン重視」→ Sony / Bose
- 「Apple製品との連携」→ AirPods一択
- 「価格と音質のバランス」→ オーディオテクニカ
自分の優先条件(音質・通話・装着感・OS連携・予算)を軸に絞り込めば、Jabra Eliteからの乗り換えでも満足度の高い一台が見つかります。
Jabra Eliteシリーズ販売終了の理由と今後のおすすめイヤホン
改めて整理すると、Jabra Eliteシリーズが終了した背景には、
- コンシューマーイヤホン市場の競争激化
- 投資に対するリターンが頭打ちになっていたこと
- 補聴器・法人向け・ゲーミングといった高成長分野へのシフト
といった要因が重なっていました。
一方で、Jabra Eliteが担ってきた
「高い通話品質 × ノイズキャンセリング × マルチポイント × 手の届きやすい価格」
という価値は、今や他のメーカーでも十分カバーできる時代です。
次の一台選びのステップ
- 自分がJabra Eliteのどこを気に入っていたかを振り返る(通話・ANC・価格・装着感・マルチポイントなど)
- その優先度に近いメーカーを、今回紹介した4社から1〜2社に絞る
- 絞り込んだメーカーのラインナップを一覧で眺め、レビューや価格を見ながら、具体的なモデルを決める
この順番で考えると、「なんとなく有名だから」ではなく、自分の使い方にフィットした一台を選びやすくなります。
Jabraのワイヤレスイヤホン撤退は残念ですが、Jabra Eliteが担っていた「高い通話品質 × ノイズキャンセリング × マルチポイント × お手頃価格」という価値は、他のブランドでもカバーできています。
用途と予算を照らし合わせて、自分の必須条件に最も合うモデルを選んでいきましょう。
よくある質問・FAQ
- 撤退が公式に発表された日は?
-
2024年6月11日、親会社GNがプレスリリースでElite/Talkシリーズの段階的終了を表明しました。
- 在庫はいつまで買える?
-
GNは「在庫削減を2024年末までに完了予定」と説明しており、年内をめどに新品流通はほぼ終了すると見込まれます。
- 既存ユーザーの修理・サポートは続く?
-
GNは「数年間はサポートを継続する」と明言しており、保証期間内の修理やファーム更新は当面提供されます。
- 2年保証は有効?
-
Elite各モデルの2年限定保証(防塵防水/故障)は撤退後も有効で、購入レシート+Sound+登録で従来通り受けられます。
- Sound+アプリはこれからも使える?
-
アプリ自体は継続提供され、数年間はバグフィックスや基本機能が維持される予定ですが、大規模新機能は縮小の可能性があります。
- Elite 10 Gen2/Elite 8 Active Gen2を今買っても大丈夫?
-
これらは「最後の新モデル」であり、販売後も数年間のサポート対象。長期使用を考えるなら在庫が潤沢なうちの購入が安心です。
- Jabraは完全撤退するの?
-
消費者向けオーディオのみ終了で、法人向けEvolveヘッドセットやBlueParrottなど他事業は継続。ブランド自体が消えるわけではありません。

