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2025最新|Bluetooth(ワイヤレス)イヤホンの音質を左右するコーデックとは|LC3 / SBC / AAC / aptX / LDAC の遅延・選び方を解説

Bluetoothイヤホンを使っていると、「LC3」「SBC」「AAC」「aptX」「LDAC」といった単語を見かけたことがあるはずです。

これらは、イヤホンで音を聴くときに重要な「コーデック(音声圧縮技術)」になりますが、「コーデックってそもそも何?」や「どれが良いの?」と気になる方も多いかと思います。

この記事では、Bluetoothの基礎知識から各音声コーデックの違いや特徴をわかりやすく、比較表も含めて解説していきます。音質や遅延、接続の安定性など種類によって異なってきますので、イヤホン選びの参考になれば嬉しいです。

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目次

Bluetooth®(ブルートゥース)とは?

はじめにBluetoothについて簡単に説明していきます。

Bluetoothとは、スマホやイヤホンなどの電子機器を無線でつなげる技術のことです。多くのデバイスに標準機能として搭載され、使用例は多々あります。

Bluetoothでできること
  • 音楽を聴く
  • ファイル転送
  • ゲームコントローラやキーボードと接続
  • スマート家電の操作
  • カーナビとスマホを接続

…など

Bluetoothの技術自体は1999年に初めて公式リリースされましたが、技術は年々進化しています。今ではより速く、遠くまで電波が届き、接続も安定しています。

Bluetoothのバージョンは直接音質には影響しませんが、バージョンが新しいほどデータ転送速度が上がり接続が安定するため、間接的には影響してきます。

Bluetooth®(ブルートゥース)の由来

由来は諸説あります。

Bluetoothという名前は、10世紀に活躍した北欧の王様「ハーラル・ブルートゥース」からきています。

この王様は、異なる部族をまとめて平和をもたらしたと言われています。その精神を引き継ぎ、「異なるデバイスをつなぐ技術」にこの名前が付けられました。

ロゴマークもこの王様のイニシャルをデザインしたものだとか。

コーデックとは?

コーデック(codec)とは、「coder-decoder」(エンコードとデコード)または「compressor-decompressor」(圧縮と展開)の略語になります。

デジタルデータをエンコード(圧縮)したり、デコード(復元)したりする仕組みのことで、音をより綺麗に、より早く送るための技術です。

音楽や動画をデジタルデータとして保存すると、データ量が非常に大きくなります。そのままでは通信や保存に不便なので、圧縮して小さくする必要があります。コーデックは、この圧縮技術を提供するものであり、また元の状態に戻すためのデコードも行います。

音楽や動画でのコーデック

Bluetoothイヤホンやスピーカーが通信に利用するコーデックは、音質や遅延、互換性に影響を与えます。

音声コーデックと簡単な特徴

  • SBC(Sub-Band Codec)
    • Bluetoothで最も一般的な標準コーデック
    • 互換性が高いが、音質が他のコーデックに比べ劣ることがある
  • AAC(Advanced Audio Codec)
    • iPhoneやApple製品で採用されており、音質が良好
  • aptXシリーズ
    • 高音質で遅延が少なく、特にAndroidデバイスで広く利用
  • LDAC
    • 高解像度音源対応の高音質コーデックで、Sonyが提供

動画コーデックと簡単な特徴

  • H.264
    • 広く使われている動画圧縮形式で、HD動画に適している
  • H.265(HEVC)
    • H.264の後継で、4Kや8K動画向けに効率を向上
  • AV1
    • 次世代動画コーデックで、効率性とオープン性が特徴
  • VP9
    • YouTube主流

コーデックは、どのような音質や映像品質でデータが再生されるか、またどれくらいのデータ容量や通信速度が必要かに直結します。

LC3 (LE Audio)

省電力・ブロードキャスト・マルチストリーム対応

LC3(Low-Complexity Communication Codec):省電力・ブロードキャスト・マルチストリーム対応の次世代コーデックで、Bluetooth 5.2以降で採用される LE Audioの標準コーデック です。

同じビットレートならSBCより高音質、同じ音質なら約50%省電力とされており、長時間駆動と混雑環境での安定性に優れています。

LC3の特徴

  • ビットレート範囲
    • 16〜345kbpsに対応し、低ビットレートでも破綻しにくい設計。
  • 遅延(lc3 遅延の目安)
    • フレーム長は7.5 ms / 10 msを採用可能で、システム全体ではおおよそ20〜40ms台も狙える低遅延設計
    • 従来のSBCより明確に低遅延になりうるため、動画視聴やカジュアルなゲーム用途とも相性が良い
  • 機能拡張
    • マルチストリーム対応:左右それぞれに直接送信し、リップシンクのズレを軽減
    • Auracast™ ブロードキャスト:空港や映画館などで、同じ音声を多数の人に同時配信可能
  • 普及状況
    • 2025年時点で、LE Audio対応スマホやイヤホンが増加中。今後「標準」になる可能性が高いコーデック

aptX Lossless

CD品質ロスレス。Snapdragon Sound必須

Qualcomm が aptX Adaptive を拡張して開発した “真のロスレス” Bluetooth コーデック。通信品質に合わせて ∼279 kbps–1.2 Mbps の可変ビットレートで動作し、電波状態が良好なときは 16-bit/44.1 kHz をビットを安定して転送します。

aptX Losslessの特徴

  • CD 相当のロスレス
    • 電波が不安定になると自動で圧縮モード(aptX Adaptive)へフォールバックし、途切れを最小化
  • 遅延
    • おおむね 70–90 ms と実ゲームにも許容範囲
  • 要件
    • 送受信両デバイスが Snapdragon Sound™ 認証であること。2025年は Snapdragon 8 Gen 3/4 スマホと Sennheiser Momentum TW4 など約 30 モデルが対応

SBC (Sub Band Codec)

シンプルで安定して使えるが、特別に高音質というわけではないコーデック

SBC(Subband Codec)は、Bluetoothで音声や音楽を送るときに使われる最も基本的なコーデックです。ほとんどのBluetooth機器が対応していて、「どんなデバイスでも使える」というのが大きな特徴です。

ただし、SBCは音質がシンプルで、他のコーデックと比べると少し劣ることがあります。また、音と映像が少しズレて聞こえることもあります(遅延が発生する場合)。

音楽を聴くときの細かい音の再現や、ゲームの音と映像の同期がそこまで重要でない場合、SBCでも十分な性能を発揮します。

AAC (Advanced Audio Coding)

音楽好きなiPhoneユーザーにピッタリのコーデック

AAC(Advanced Audio Coding)は、Bluetoothで音声や音楽を送る際に使われるコーデックの一つで、特にApple製品で広く採用されています。iPhoneやiPad、Macなどで最適化されているため、これらのデバイスを使う人にとっては非常に便利です。

AACの特徴

  • 音質が良い
    • SBCよりも高い音質を提供でき、特に音楽を聴くときにクリアで細やかな音を楽しめる
  • 互換性
    • Android でも AAC は使えるが、端末実装によりビットレートが 96–264 kbps とばらつくため音質差が出やすい
  • 遅延
    • SBCよりは少ない遅延
    • ゲームや動画視聴では少しズレが気になることがある

AACは特に音楽を高品質で楽しみたい人に向いています。Appleデバイスに最適化されているため、簡単に高いパフォーマンスを発揮してくれます。

Androidデバイスで使う場合は注意が必要で、同じAACでも機種によって音質が異なる場合があります。

aptX

音楽や動画をいい音で楽しみたいAndroidユーザーにぴったりのコーデック

aptX(エイプトエックス)は、Bluetoothで音声や音楽を送る際に使われるコーデックで、高音質と低遅延のバランスが取れているのが特徴です。

特にAndroidデバイスやWindowsパソコンで広く採用されています。

aptXの特徴

  • 音質が良い
    • SBCよりもデータを効率よく圧縮する技術を使っているため、音の細かい部分まできれいに再現できる
  • 低遅延
    • SBCと比べて音声データを速く処理できるので、動画や通話で音が映像とズレにくくなる
  • 互換性
    • AndroidスマホやBluetooth対応のオーディオ機器でよく使われている
    • aptXを使うには送信機(スマホなど)と受信機(イヤホンやヘッドホン)の両方がaptX対応である必要がある

aptXは音楽や映画を高音質で楽しみたい人、遅延が少ない環境で快適に使いたい人に適しています。特に、ゲームをしながら音のタイミングを重視する場合や、Androidユーザーには非常に便利なコーデックです。

Apple製品では対応していないので注意

aptX HD

ワイヤレスでもできるだけ高音質で音楽を楽しみたい人にピッタリのコーデック

aptX HDは、aptXの進化版で、より高い音質を実現するために開発されたBluetoothコーデックです。音楽の細かなニュアンスを再現できるため、特に音質にこだわる人に向いています。

aptX HDの特徴

  • 高音質
    • aptX HDは24ビットの高解像度音源をサポート
    • ハイレゾ相当のビット深度に対応するがロスレスではない
      • 24-bit/48 kHz・576 kbps だが非可逆圧縮
  • 効率的な圧縮
    • データを効率よく圧縮しながら音質を保つ技術を採用
  • 互換性
    • aptX HDを使用するには、送信機(スマホなど)と受信機(イヤホンやヘッドホン)の両方がaptX HDに対応している必要がある
    • Apple製品では非対応
  • 遅延
    • 音質を優先しているため、通常のaptXよりもわずかに遅延が発生することがある
      • 音楽鑑賞ではほとんど問題なし
      • 200-300msの遅延

aptX HDは、ハイレゾ音源や高音質の音楽をワイヤレスで楽しみたい人におすすめです。音質を重視する音楽好きや、オーディオ機器にこだわりのある人に最適なコーデックと言えます。

aptX LL (Low Latency)

タイミングが命の場面で最適なコーデック

aptX LL(Low Latency)は、音と映像のズレを最小限に抑えることを目的としたBluetoothコーデックです。特に、動画やゲーム、楽器演奏のように音のタイミングが重要なシーンに最適です。

aptX LLの特徴

  • 極めて低い遅延
    • トップクラスの低遅延性能(遅延は約40ms)
  • 高音質
    • 低遅延を実現しながら、aptX標準の音質も維持
  • 専用の対応デバイスが必要
    • 送信側(スマホやPCなど)と受信側(イヤホンやヘッドホン)の両方がaptX LLに対応している必要がある。
  • 用途に特化
    • aptX LLは低遅延を重視しているため、接続の安定性がやや劣る場合がある
    • 音楽鑑賞など、音質が最優先の用途では他のコーデック(aptX HDやLDACなど)の方が適していることもある

aptX LLは、音と映像がズレると困るシーンで活躍します。(映画やドラマ視聴、ゲーム、電子機器を使った演奏など)

aptX adaptive

音質も遅延も妥協したくない人に向けた万能型コーデック

aptX adaptive(エイプトエックス アダプティブ)は、音質と遅延を自動で最適化するBluetoothコーデックです。音楽や動画、ゲームなど、さまざまな用途に合わせて柔軟に性能を変化させるのが最大の特徴です。

aptX adaptiveの特徴

  • 自動調整機能
    • 使用状況や接続環境に応じて、音質と遅延を自動的に切り替える
    • 音楽を聴くときには高音質を優先し、ゲームや動画視聴のときは低遅延を重視するように動作
  • 高音質と低遅延の両立
    • 最大24ビット/48kHzの音質をサポート
    • 遅延を抑える設計がされているため、音と映像のズレを感じにくい
  • 効率的な通信
    • 接続の安定性を保ちながら、周囲の電波干渉が多い環境でも性能を発揮する
    • データ転送量を調整することで、音飛びを減らす
  • 互換性
    • aptX adaptiveを使用するには、送信機(スマホなど)と受信機(イヤホンやヘッドホン)の両方が対応している必要がある

aptX adaptiveは、音楽、映画、ゲームと幅広い用途でBluetoothデバイスを使いたい人にピッタリです。「高音質」と「低遅延」の両方を求めるユーザーに最適で、状況に応じて最適な設定に切り替えてくれるため、複数の用途で活躍します。

LDAC

ワイヤレスで最高レベルの音質を楽しみたい人向けのコーデック

LDAC(エルダック)は、Sonyが開発したBluetoothコーデックで、最大990 kbpsの高ビットレートに対応し、ハイレゾ音源再生にも適した高音質志向のコーデックです。

LDACの特徴

  • 高音質
    • 最大990 kbps/最大24-bit/96 kHzに対応し、有線に近い情報量を確保可能
  • 柔軟なビットレート
    • 990 / 660 / 330 kbpsの3モードを環境に応じて自動切替
  • 対応機種
    • 多くのAndroid端末やSony製ヘッドホン・イヤホンで対応(要確認)
  • 接続の安定性
    • 高ビットレートモードでは電波状況の影響を受けやすく、環境によって音切れや自動的なビットレートダウンが起こる場合あり

LDACの遅延に関する目安

LDACは音質最優先の設計のため、遅延は他コーデックより大きめです。

  • 一般的な測定例では、約160〜210ms前後になるケースが多く、SBCと同等〜やや大きい
  • 映画・アニメ鑑賞程度であれば大きな問題にならないことも多いが、音ゲーやシビアな対戦ゲームには不向きと考えた方が安全

ハイレゾ音源や高音質の音楽を追求したい人に最適です。

Sonyのヘッドホンやイヤホンと組み合わせることで、その性能を最大限に引き出せます。ただし、電波が弱い場所や、接続の安定性が必要な状況では別のコーデックを検討する方が良い場合もあります。

音質順(高音質 → 標準音質)

※あくまでコーデック仕様上の“目安”です。実際の音質はイヤホン本体のチューニングや実装品質にも大きく左右されます。

  • LDAC(ハイレゾ対応・最大990 kbps)
  • aptX Lossless(CDロスレス 16-bit/44.1 kHzを実現可能)
  • aptX HD(ハイレゾ相当だが非ロスレス)
  • aptX Adaptive(環境に応じて調整・高音質も狙える)
  • LC3(LE Audio世代の高効率コーデック)
  • AAC(特にApple製品で安定した音質)
  • aptX(バランス型)
  • aptX LL(音質はaptX相当で低遅延重視)
  • SBC(基本的な標準コーデック)

遅延順(低遅延 → 高遅延)

※数値は各種測定例からの「おおよその目安」です。機種・環境・OS設定により大きく変動します。

  • aptX LL(約34〜40 ms前後:ゲーム用途向け)
  • LC3(おおよそ20〜40 ms台を狙える設計:LE Audio対応機器前提)
  • aptX Adaptive(状況次第で〜50 ms台まで低減可能なモードあり)
  • aptX Lossless(70〜90 ms前後)
  • aptX(100〜150 ms前後)
  • AAC(おおよそ150〜200 ms前後:iPhone動画視聴なら許容範囲なことが多い)
  • SBC(150〜250 ms前後)
  • LDAC(約160〜210 ms前後:音質優先のため遅延大きめ)
  • aptX HD(高音質優先で遅延も大きく、200 ms前後になる場合も)

Bluetooth(ワイヤレス)イヤホンのコーデックとは まとめ

Bluetoothイヤホンで音楽や動画を楽しむとき、コーデックはとても重要です。それぞれに得意な場面があるので、自分の使い方に合ったものを選ぶのがポイント。

送信側と受信側の両方に対応しているコーデックでの再生になるため、イヤホンだけではなくパソコンやスマホ側の対応を確認することも重要です。

本記事でコーデックに関する疑問が解消されると幸いです。

補足(コーデック選び早見チャート)

ゲーム・動画用途:aptX LL / LC3

ハイレゾ音楽:LDAC / aptX Lossless

通勤・作業BGM:AAC / aptX Adaptive

とにかく互換性:SBC

補足(コーデック具体値比較)

コーデック最大ビットレートビット深度 / サンプリング遅延 (往復)※主な特徴
aptX Lossless~1,200 kbps (可変)16‑bit / 44.1 kHz70‑90 msCDロスレス、Snapdragon Sound必須
LDAC330 / 660 / 990 kbps24‑bit / 96 kHz160‑210 msハイレゾ対応、3質最重視だが遅延は大きめ
aptX HD576 kbps24‑bit / 48 kHz200-300ms高品位だが非ロスレス
aptX Adaptive276–420 kbps (可変)24‑bit / 48 kHz50‑80 ms環境に応じ自動調整、低遅延モード有
aptX LL352 kbps16‑bit / 44.1 kHz34–40 ms超低遅延、ゲーム向け
LC3 (LE Audio)16–345 kbps24‑bit / 48 kHz20–40 ms ※1省電力、Auracast対応
AAC~256 kbps (iOS)16‑bit / 44.1 kHz160–200 msApple製品に最適
aptX352 kbps16‑bit / 44.1 kHz120–150 msバランス良好
SBC~328 kbps16‑bit / 48 kHz150–250 ms基本コーデック

※ 遅延は送信+受信デバイスや環境、実装によって大きく前後します。本表は各種検証記事・仕様値をもとにした一般的な目安です。

※1 LC3はLE Audioとしてのシステム設計に依存し、実機レビューは今後さらに増える見込みです。

Bluetoothコーデックに関するQA

aptX HD と LDAC、結局どちらが高音質?

理論ビットレートはLDAC 990 kbpsが上。ただし端末実装や電波状況で可変になるため、Android同士ならLDAC優勢・iOSやSnapdragon限定ならaptX HDが安定。

ゲーム向けに最も遅延が少ないコーデックは?

実測40 ms前後のaptX LL/aptX Adaptive(Low Latencyモード)が最短。iPhoneならAACでも200 ms以下だが音ゲーは有線推奨。

LC3(LE Audio)は従来コーデックと何が違う?

16-320 kbpsでSBC比約50 %の省データ&低消費電力、マルチストリーム対応が特長。2025年以降のイヤホン・補聴器で主流化見込みではある。

iPhoneでハイレゾ再生する方法はある?

標準BluetoothはAAC固定のためワイヤレスでハイレゾは不可。Lightning/USB-C DAC+有線、もしくはApple Lossless対応AirPods(将来モデル)を待つ必要がある。

コーデックが違うと電池持ちは変わる?

高ビットレートほど送信電力が上がりバッテリー消費も増加。SBC≒LC3<AAC<aptX HD<LDAC(990 kbps)の順で消費が大きくなる(目安)。

aptX Lossless と LDAC、どちらが高音質?

理論上ではaptX Losslessは16‑bit/44.1 kHzを“ビットパーフェクト”で送信。LDACは24‑bit/96 kHzだが“非可逆”。ハイレゾの情報量重視ならLDAC、原音忠実性ならaptX Lossless。

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